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病理診断科の研修

はじめに

医療行為、特に治療を患者さまに薦める場合には、確固たる医学的根拠が求められます。また、治療期間途中に治療効果を判定し、今後同様の治療を継続するか否かの採否を決定する一助にも医学的根拠が必要です。この根拠の一つに病理診断が位置づけられています。

しかしながら、病理診断科に患者さんから採取した検体を提出すれば、自動的に正しい診断が返ってくるわけではありません。医療診断行為は、症候学・一般検査学・画像診断学・病理診断学が複雑に連携しあって成り立っています。

また、適切な検体採取・検体固定法を行わないと、しばしば、不適正検体・診断不可能との結果が返って来ることもあります。
さらに、あってはならないことではありますが、依頼紙と検体を多数の目(採取医師・看護師・技師・病理医師) で十分確認する行為をおろそかにすると、検体取り違え事象を起こし、患者側・医療者側双方に不利益を及ぼす可能性もありえます。

将来、先生方が病理診断医として私達の同僚になり、共に研鑽することを希望しますが、他科の臨床医として病理診断を活用する上でも、検体の適切な取り扱い・肉眼所見記載/撮影・組織所見記載/撮影・迅速診断・病理検査技師および細胞診検査士業務見学などを体験することは、非常に役に立つと考えます。

一般研修目標

病理/口腔病理検査室における検査・診断業務を体験し、実際に病理診断(組織診断・細胞診断・迅速診断)・検体取り扱いに参加することにより、そのプロセスが如何に患者さんの適切な治療・管理に結びついていくかを学習する。

行動目標

  1. 病理検体(生検・手術・細胞診・解剖)の適切な取り扱いおよび検体採取時・固定方法の注意点の理解。
  2. 病理/口腔病理検査室への検体提出時の依頼紙・検体確認の重要性を理解。
  3. 病理診断依頼紙記載の重要性を理解。過不足無く、どのような臨床情報を病理側へ伝えれば良いか理解。
  4. 細胞診の診断プロセス、組織診との相違点、互いを補完しあっているものだということと、限界が存在するということの理解。
  5. 術中迅速診断の目的と適応、検体提出方法の注意点、標本作成過程の経験と診断プロセスを体験。手術室への報告も体験する。その限界も理解。
  6. 生検・手術組織診断書の病理所見の理解・診断者として報告書記載を体験。
  7. 病理解剖診断のプロセスを体験する。
  8. 固定後の検体・パラフィンブロック・ガラス標本の保存・管理の重要性を理解。
  9. 病理診断医、病理/口腔病理検査技師(一般検査技師兼任、細胞診検査士兼任)の役割を理解し、互助的な人間関係の構築ができる。
  10. 臨床他科からの問い合わせに対し、丁寧な対応をする。また、疑問点を互いに討議によって解決に導く過程を体験する。

研修指導体制

  1. 研修担当者:橘 充弘(診療科主任部長/責任者):
    その他、非常勤医師(京都大学医学部法医所属1名・浜松医科大学医学部病理所属1名・嘱託医2名)
  2. 診断に関しては、研修担当者が最終責任を負う。

研修評価項目

以下の項目をチェック

  • 感染対策・有機溶媒管理を意識して検体を適切に取り扱える。
  • 病理技師の業務の妨げにならない行動・態度を理解している。
  • 受け手側として、臨床医の適切な病理スタッフへの依頼態度を理解している。
  • 適切な固定液の量、固定方法、固定時間を理解している。
  • 遺伝子検索用検体・電子顕微鏡的検索用検体などの適切な取り扱いを理解している。
  • 標本の肉眼所見記載・切り出し・包埋・薄切・染色などの標本作成過程を理解している。
  • 実際に標本薄切を経験した。
  • 依頼紙を読み、標本作成・診断に不足している情報を電子カルテや主治医から得ることができる。
  • 顕微鏡(光学・蛍光)・病理診断ソフト・バーチャルスライド・デジタル画像撮影装置・Ki67標識率計測ソフトなどの使用方法を理解している。
  • フローサイトメトリー法・染色体検査・遺伝子検索などの検査結果を理解できる。
  • 細胞診の検体採取方法・適応・有効性と限界について理解している。
  • 臓器ごとの診断規約が異なること、臓器によっては定まった規約が存在しないこと、診断基準が日々変化していること、診断者間で診断基準が一定していないことを理解している。
  • 術中迅速診断の目的・適応・限界について理解している。
  • 免疫組織化学染色(酵素抗体法・蛍光抗体法)の原理・有用性・必要な抗体の選択の重要性・結果解釈の留意点を理解している。
  • パラフィンブロック・細胞診/組織診標本・書類・文献・書籍などの保存・管理の重要性を理解している。
  • 病理解剖診断の過程を理解している。

 


文責:病理診断科

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