2017年9月9日(土)に川根文化センター(チャリム21)で「地域医療・介護シンポジウムinかわね」(主催:島田市地域医療を支援する会、共催:静岡県中部健康福祉センター、NPOまちづくり川根の会、島田市)が開催されました。
島田市地域医療を支援する会の神代代表
介護老人保健施設「さくら」の廣瀬光施設長
シンポジウムは、第一部介護老人保健施設「さくら」の廣瀬光施設長による基調講演「演題:介護制度を味方につけて、安心と平穏を見出しましょう!」から始まりました。
廣瀬施設長は、平成元年2月から平成24年3月まで当院の外科医として診察・治療にあたるとともに、地域医療連携室長も兼務し、緩和ケアチームを発足させ、末期がん患者の在宅緩和ケアに御尽力されました。現在は、介護老人保健施設「さくら」の施設長として、より介護現場に近い立場で日々奮闘されています。
この様な経歴をもつ廣瀬施設長の基調講演は、医療のあり方について、特に終末期に至る患者さんに対する最善の診療とは何かについて、自身のこれまで歩んできた体験から訴えかけるものでした。21世紀と共に運用が始まった介護保険制度と出会い、この制度を味方につければ終末期医療の助けになると考えたことなどの説明がありました。
第二部は、引き続き廣瀬施設長にコーディネーターを務めてもらい、シンポジストに、高木医院の高木勇人院長、NPOまちづくり川根の会の朝比奈久代副理事長、高齢者あんしんセンター(川根)の島本淑江センター長、当院の服部隆一病院事業管理者を招き、パネルディスカッションが行われました。
高木医院の高木勇人院長は、在宅での看取りを行っている立場から、地域医療の厳しい現状説明がありました。少ない医師数で川根地区を継続的に支えていく難しさなどが語られました。
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市立島田市民病院
服部病院事業管理者 -
高木医院
高木勇人院長
NPOまちづくり川根の会の朝比奈久代副理事長は、両親の看取りの体験で地元に診療所があったことが、とても心強かったとのこと。彼女の言葉には、両親の最後を支えてくれた医療・介護関係者への感謝の思いが溢れていました。
高齢者あんしんセンター(川根)の島本淑江センター長は、冒頭、先ずは「高齢者あんしんセンター(地域包括支援センター)」の存在を知って欲しいと話しました。地元の方は、とても我慢強いので、すごく困ってから相談に来られるので、早め早めに相談に来て欲しいと訴えかけました。センターでは相談に乗るだけではなく実際に要支援者のケアプランの作成まで行っているとのこと、是非、活用して欲しいとのことでした。
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NPOまちづくり川根の会の
朝比奈久代副理事長 -
高齢者あんしんセンター(川根)の
島本淑江センター長
当院の服部病院事業管理者からは、二次医療圏における県の医療政策もあり、新病院では療養病床の整備は行わないが、地元の開業医や施設と連携して、引き続き急性期主体の地域医療基幹病院を担っていく旨が語られました。
コーディネーターの廣瀬施設長は、介護保険制度も20年近い実績を踏まえ、さらに進む高齢化を見据えて、地域の中で、住民、行政、医療、介護の力を機能的に結集して連携を強めることで自立を保ちながら年齢を加えていけるまちづくり「地域包括ケアシステム」を構築していきましょうと締めました。
NPOまちづくり川根の会の白瀧理事長
パネルディスカッションには、会場から島田市医師会の藤本会長や中部保健所の小泉地域医療課長なども参加され、とても熱気に溢れた素晴らしいシンポジウムとなりました。
文責:経営企画課