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2022年3月大津地区医療学習会

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2022年3月26日(土)に大津農村環境改善センターを会場に医療学習会が開催され、当院消化器内科の松下医師と救急センターの西村看護師による講演が行われました。はじめに主催者の「地域医療を支援する会」神代代表から開会の挨拶がありました。当会はアルコール手指消毒、マスクの着用などの感染対策をして実施されました。

 

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 第1部では、当院の松下医師が「肝臓病について」と題して、肝臓という臓器、ウイルス性肝炎、自己免疫性肝炎、アルコール性肝障害、NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)について講演を行いました。
 以前は、ウイルス性肝炎が主でしたが、かつて「国民病」と呼ばれたC型肝炎も落ち着いてきて、肝臓病の診療も様変わりしているのが現状です。肝臓は人体の中で最も大きな臓器であり、肝臓は代謝の中心であり、一つの肝細胞が50種類以上の化学反応を行っているため、化学工場に例えられます。
 肝臓病の3大原因はウイルス、アルコール、肥満が挙げられ、最近は肥満との関係で、単なる脂肪肝ではなく、炎症・線維化を伴って肝硬変へ進行する脂肪肝(非アルコール性脂肪性肝炎)というのも知られるようになってきました。
 ウイルス性肝炎の原因は、肝炎ウイルスに感染することであり、肝炎ウイルスにはA型からE型の少なくとも5種類あるとのことです。D型は特殊であまり見られないそうですが、B型・C型肝炎は血液や体液から感染、A型・E型肝炎は経口感染によるものとのことです。具体的には、A型肝炎だと生ガキや汚染された水、E型肝炎は豚、イノシシ、鹿肉などを生食や十分に加熱されていなかった場合などに感染することがあるそうです。
 他にも、アルコール性肝障害は意外と多く、アルコールは肝臓にだけ障害を及ぼすわけではなく、飲みすぎるとあらゆる臓器、とりわけ膵臓、中枢神経、生殖器に不可逆的な病変を誘導し、必ずしも肝臓の病態とは一致しないそうです。アルコールを飲み過ぎて肝臓を悪くした人が、同じくらい膵臓にも障害があるわけでもなく、人によっては肝臓ではなく、膵臓を悪くする人もいるということでした。大事なことは、アルコール性肝疾患の本体は代謝障害であり、ウイルス性肝炎や自己免疫性肝炎とは病気の本体がまったく異なるものであるため、ウイルス性肝炎に見られるような免疫を介する病変は原則ないとのことでした。また、ウイルス性肝炎でも肝臓の線維化が進行し肝硬変になってしまいますが、アルコールはもっと固い組織、線維化を引き起こすそうです。細胞が脱落をして補うように再生してくるものが間に合わないと線維化が起こります。それがウイルス性肝炎よりアルコールはもっと積極的に線維化が誘発され、アルコール性肝繊維症といったものを引き起こします。
 NASHについて、普通の脂肪肝もあれば非アルコール性脂肪肝炎というものもあり、ただの脂肪肝だと思っていたら、いつのまにか肝硬変になったり肝臓がんになることもあります。脂肪肝とは、中性脂肪が過剰に溜まって肝細胞が5%以上死亡すると脂肪肝と診断され、脂肪肝の原因は飲酒、代謝障害などが挙げられ、飢餓状態でも脂肪肝になるそうです。脂肪肝は男性に多く、30~70代概ね40%くらい、女性は50代から増加する傾向にあります。
 NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)とNASH(非アルコール性脂肪肝炎)について、治療しない場合は5年~10年で肝硬変に5~20%の人が進行していきます。脂肪肝を無視できない状況であり、NAFLDは肝硬変になるのはまれですが、NAFLDがNASHへ移行する可能性があるため、注意する必要があるそうです。脂肪肝の治療については、薬で肝臓の数値を下げるのではなく、食事療法、運動療法が一番大事であり、脂肪を抑えた食事をしてちゃんと運動する、具体的には水泳やランニングが効果的だそうです。今、NASHでなくてもいつかNASHになる可能性もあることを考え、今、自分の肝臓の線維化がどれくらいなのか一度チェックしてみるのも良いとのことでした。

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 第2部では救急外来の西村看護師が「救急センターの現状」と題して講演を行いました。まず、新病院の概要について紹介しました。診察時の呼出しが名前から番号呼出しに変わったことや、新しくなった病室や病棟ラウンジ、ヘリポートなどの特徴を説明しました。令和3年の5月からドクターヘリを22件受け入れており、主に川根地区の患者さんが多く搬送され、救急車では1時間かかる搬送が、ヘリであれば約10分で到着することができるそうです。
 救急外来では病名がついていないため、検査をしてどこが悪いのかというのを調べます。救急医療は一次救急、二次救急、三次救急の三段階に分かれており、当院は二次救急医療機関になります。主に手術や入院が必要な患者さんに24時間365日体制で診療を行っており、島田市内の患者さんだけを受け入れるのではなく、志太榛原地区、時には袋井や菊川などの西部の患者さんも受け入れています。まず、受診されたら看護師が患者さんの症状を確認、医師に報告し、診察の順番を決定しています。これは、症状の重い患者さんを優先して救命するためにそのような形を取っているとのことです。
 救急外来の当番について、入院になった患者を主に担当するHCU当直医師が1名、内科当直医が1名~2名、外科当直が1~2名、看護師が平日の昼間は4人、夜間帯が3人、0時以降~朝までが2人という体制で診ています。医師が毎日交替で診ているのが救急外来になるため、先生の専門外の患者も診なければなりません。医師の中には救急外来の当直を終えても、そのまま外来の診察に入ったり、病棟の患者さんを診察したりなど、24時間以上働いている時もある場合もあります。「昼間は仕事で行けないから」「救急車なら早く着いて早く診てもらえる」といったような考えで救急車を利用されることは止めていただき、救急車、救急外来の適正利用をお願いしました。
 受診した方が良いのか、救急車で行った方が良いのか迷った時のために、参考資料を示しながら受診の目安を説明しました。大人の場合と子どもの場合にわけて、救急車を呼んで欲しい症状を説明しながら、改めて救急車の適正利用を呼びかけました。
 また、「かかりつけ医を持ちましょう」「大きな病院で診てもらうには紹介状が必要」ということを耳にしたことがあるかもしれません。救急外来では毎日診察する医師が変わるため、診察する医師は患者さんが今までどんな病気にかかって、どのような治療をしてきたのか、今いったいどんな状況なのかを知りません。継続して診療できないのが救急外来になるため、受診される際にはお薬手帳の持参をお願いしました。また、救急外来受診後に必ずかかりつけ医に受診すること、そして普段からかかりつけ医をもって、自分の健康管理をお願いしました。専門的な検査などが必要な場合は紹介してもらい、当院で治療し、病状が安定したらかかりつけ医で診てもらう、というサイクルがうまく回れば、当院も急性期としての病院の役割を果たすことができます。
 健康寿命が延びてきており、最後まで自宅で元気で過ごせるように、もし夜間に急に具合が悪くなってしまったら、いつでも安心して医療を受けられるように24時間365日救急医療を提供する体制を整えています。夜間休日の医療は緊急を要する方のためにあるため、救急医療体制をご理解いただき、適切な受診に協力頂けると助かるとのことでした。

 

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 第3部として地域医療を支援する会が、安心して暮らせる医療環境を守るために、会から6つの提案を行い、学習会は閉会しました。


文責:経営企画課  

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