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2022年7月横井地区医療学習会

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 2022年7月23日(土)に横井町公会堂を会場に医療学習会が開催され、当医療センター循環器内科の金森医師と、島田市訪問看護ステーション管理者の宮下看護師が講演を行いました。はじめに主催者の地域医療を支援する会の神代代表から挨拶があり、まもなく迎える「2025年問題」に触れながら、支援する会は発足した当時から医療と介護は切っても切り離せない状況が生まれると予測し活動してきました。これまでの活動には自治会をはじめとする、病院や医師会などの協力があったからこそ続けてこられたものであると感謝の言葉を述べられました。
当会はアルコール手指消毒、マスクの着用などの感染対策をして実施されました。

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 第1部では、金森医師が「心臓病について」と題して講演を行いました。
はじめに当院の循環器内科の診療体制を紹介しながら、循環器内科で診察している疾患について説明しました。血管撮影室では、心筋梗塞などの患者を治療しており、コロナ禍で話題となった「ECMO(人工心肺装置)」もあり、非常に重症な患者も対応可能とのことです。

 心臓病というのは、心臓の構造や機能に何らかの異常によって起こる病気の総称のことで、具体的には心不全、虚血性心疾患、弁膜症、不整脈、心筋症、先天性心疾患などがあります。一番多い虚血性心疾患(心筋梗塞や狭心症)は、冠動脈で動脈硬化が起こり、ある日突然血管が詰まり、血液がいかなくなって酸素不足になって胸が苦しくなるのが狭心症、血流がいかなくなって心臓の筋肉が壊死してしまうのが心筋梗塞です。
 血管の治療はできるだけ早く行われることが大切であり、時間が経てば経つほど筋肉の壊死は進んでしまいます。他の地域では、血管を再開通させるのに90分以内を目安にしているところが多いそうですが、当院の循環器内科は、来院されてから60分以内に血管を再開通させられるように、この地域では2~30年ほど前から緊急対応できるチーム医療の体制を24時間整えています。
 また、自宅で家族が倒れた際には誰もが心肺蘇生措置ができることが望ましく、AEDがない場合でも、最低限、胸骨圧迫(心臓マッサージ)だけでも構わないのでやってもらえると、脳の予後が良くなるので、家族に心臓病の方がいる場合は想定してできるようにしておくことが大切だそうです。

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 他にも、高血圧には、血圧に関係するホルモンの病気や睡眠時無呼吸症候群などによって血圧が高くなってしまう二次性高血圧と、特に疾患はないが血圧が上がってしまう本態性高血圧があるそうです。高血圧の大部分は本態性高血圧であり、塩分の摂取しすぎや肥満、飲酒、運動不足、ストレスなどの要因があると考えられています。

 高血圧を予防するために、減塩方法、体重管理、運動による生活習慣の改善について説明しました。例えば、減塩するために味付けは出汁やスパイス、薬味などを使ってできるだけ塩分を減らす工夫をし、かまぼこやベーコンなどは塩分が多く含まれている食品は出来れば避けていただきたいとのことです。
運動では、中程度の強度の有酸素運動(例:早足のウォーキングや自転車こぎ)を週に150分、高強度の有酸素運動(ジョギングやテニスのシングルスなど)を週に75分を目安にいずれかの運動を行うことが効果的とのことです。また、喫煙は吸わない人と比べると8年から10年寿命が短くなると言われています。長く喫煙されている方に「今やめても変わらないのでは?」と聞かれることも多いそうですが、禁煙すると直後から作用があり、心臓の痙攣が起こるタイプの狭心症のリスクも低くなります。1年位すると普通の人と心筋梗塞リスクは変わらないところまで下がるとのことでした。

 最近では、日本循環器学会が日本脳卒中学会と協力し、ストップ CVD!(脳心血管病)を通して、いかに脳心血管病を治すか、起こさないようにするかについて紹介しました。循環器内科では発症してしまった人の治療や二次予防を行っていますが、零次予防、一次予防として、生活習慣の見直しや危険因子に対する早期介入、適切な治療を行うということで健康長寿を達成するために日々取り組んでいることを話され、講義は終了しました。

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 第2部では、宮下訪問看護師が「訪問看護ってご存じですか?~住み慣れた我が家で最期まで暮らすために~」と題して講演を行いました。

 島田市の調査では、終末期(病気が治る可能性がなくなると診断されてからの予後が約半年くらいの時期)に望む医療は「自宅で過ごし、何かあれば入院したい」「自宅から通院や往診による医療を受けたい」など、最期は住み慣れた自宅で過ごしたい方が半数にも上る結果となりました。しかし、平成30年の島田市の死亡者数統計を見ると、病院での死亡が68%、自宅での死亡が16%と、自宅で最期を過ごしたいと希望しながらも、7割近くが病院で亡くなっている事実があるとのことでした。

 新型コロナ感染症が流行し始め、入院しても面会ができない、本人の様子を聞いてもよくわからないということもあり、本人だけでなく、家族からも自宅を基本とする治療を希望される方が増えてきているそうです。

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 退院後、家族がオムツ交換や痰の吸引などを自宅でやるとなると、不安になってしまう方も多いそうですが、そんな時に訪問看護を利用していただきたいとのことでした。看護師というのは医療と介護の両方を見ることができ、訪問看護では医療行為や介護の仕方などを伝え、家族の不安に寄り添いながら希望に沿った形で携わっていくそうです。
 「どうしたら訪問看護を利用できるの?」という疑問を持つ方も多いため、訪問看護の利用方法などをわかりやすくまとめた動画を視聴しました。まずは、かかりつけ医を持ち、先生に自分のことを理解してもらい、もし自分に何かあった時を想定し、訪問看護を利用できる体制を整えておくことが必要だと感じました。
 最後に、訪問看護は悪化の予防から最期まで病気に対応しており、また、対象は本人だけでなく家族も含まれ、皆が安心して使っていただける体制を整えているので、必要性を持って利用していただきたいと話され、講義は終了しました。

 

 

文責:経営企画課  

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