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2025年7月六合地区医療学習会

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 2025年7月19日(土)に島田市立六合公民館「ロクティ」で医療学習会が開催され、当医療センター歯科口腔外科部長の田中医師と、青山病院事業管理者が講演を行いました。

 第1部では、田中医師が口腔がん治療とインプラント治療についての講演を行いました。
 当院の口腔外科は、常勤の歯科医師が2名、歯科衛生士3名の5名体制です。診療室は個室が4部屋あり、プライバシーが守られる形で診療を行っています。診療内容は、親知らずの抜歯が多く、その他有病者や高齢者の抜歯、嚙み合わせの異常・顔の変形・口腔がん・口腔粘膜疾患・顎関節疾患・唾液腺疾患・インプラントなどの治療を行っています。一般的な歯科医院で行う虫歯や歯周病、入れ歯などの治療は行っておりません。
 本日のテーマの1つである口腔がんとは、口の中の粘膜に傷や腫れ物、白色や赤色の斑点ができて、それが増殖し続ける病気のことです。症状として、食べ物がしみるなどわかりやすいものもありますが、まったく痛みを伴わないものもあり、気が付かないまま何か月も経過する場合があるため注意が必要です。主な原因は喫煙、過度な飲酒で、どちらも行う方は口腔がんにかかりやすいと言えます。その他、合わない入れ歯や尖った虫歯が慢性的に粘膜を傷つけること、熱い・辛い食事を頻繁に行うこと、ウイルス疾患、加齢なども原因の一つとなります。口腔がんが最もできやすい部位が舌で、全体の6割ほどを占めており、その次が歯肉です。
 検査方法としては、画像診断(CT、MRI、エコーなど)、細胞診、確定診断、血液検査があります。まず初めに行うことが多い細胞診について、口腔外科では擦過細胞診を行っています。この検査は歯間ブラシで擦って検査に出すことで結果がわかります。擦るだけで痛みもほとんどない簡単な検査のため、疑わしい症状があれば早めに受診をすることを勧めます。

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 口腔がんになった場合、がんの大きさと転移の有無で早期がんか進行がんか変わってきます。進行がんでは首のリンパ節に転移しやすいため、顎の下が腫れるなどの症状が現れます。さらに進行すると肺に転移しやすくなり、治療が難しくなってきます。治療方法としては手術、抗がん剤、放射線治療の3つがあります。早期がんであれば、いずれか1つだけで済むことが多いですが、進行がんになるとすべての治療を行わなければいけないことが多くなります。5年生存率は早期がんで80%程度、進行がんでは40%程度となるため、早期発見が大切です。早期発見のためには、傷・腫れ物・斑点がある、しこりがある、できものを触るだけで出血する、急激にできものが大きくなってくる、2~3週間以上治らない口内炎があるなどの症状があれば注意が必要です。
 予防としては、飲酒を適度にする、禁煙、口腔内を清潔に保つ、熱い・辛い物を頻繁に食べない、不適合な入れ歯の修理、虫歯の治療などが挙げられます。かかりつけの歯医者を持っておくことも大切で、定期的に受診することで早期発見に繋げられます。舌がんについては、手術前後の写真を交えて説明がありましたが、術後の切り取られた舌の写真に思わず息をのむ受講者の姿が見られました。
 テーマ2つ目のインプラント治療は、ブリッジや入れ歯とは異なり自費診療ではありますが、隣の歯を削ったり、入れ歯を装着する煩わしさなどはない治療方法です。スライドで具体的にインプラント治療の流れを紹介しました。他の歯と区別がつかないくらいの見た目となった良い症例もあるため、治療の選択肢の1つになればと伝え、第1部の講演は終了しました。

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 第2部では、青山病院事業管理者が総合医療センターの現状についての講演を行いました。
 初めに病院の施設概要を説明しました。当院は災害拠点病院であり、建物の基盤のみが揺れる免震構造になっているため、手術中に地震が起こっても患者さんに被害が及びづらくなっています。また、ヘリポートがあり道路が遮断された場合でも救急搬送が可能です。川根本町、御前崎市の患者さんが救急搬送されることもあり、川根本町から救急車だと1時間かかるところを、ドクターヘリでは10~15分で搬送することができ、かなり時間が短縮されています。その他病棟や外来、医療機器などの紹介も行いました。
 当院の特徴は、救急に注力し、可能な限り患者さんの受け入れを行っていることです。旧病院では動線が悪かったため、新病院ではすぐに救急の患者さんの治療にあたれるような部屋の配置にしました。その一例として、HCU(集中治療室)を新しく作りました。また、ヘリポートと1階の救急外来が1本のエレベーターで繋がっており、患者さんを速やかに送ることができます。CTやMRIなどの高額医療機器もすべて新しくしています。以前の救急センターを透析センターに変え、透析のベッドを増床したことで、他院にお願いしていた患者さんを受け入れられるようになりました。
 救急搬送件数は年々増えており、昨年度は4,950台を受け入れました。島田市からの搬送が8割程度、それ以外に近隣地域はもちろん、中東遠や磐田市、浜松市など広範囲の地域からの受け入れも行っています。令和7年度4~6月の応需率は99.5%とほとんど受け入れをしている状況であり、県内で1、2位を争う応需率だと考えられます。その中で救急搬送が多い症例は、循環器内科では急性心筋梗塞や心不全、脳神経外科では脳梗塞や脳出血、消化器内科・消化器外科では吐血や下血、整形外科では骨折、呼吸器内科・呼吸器外科では肺炎、誤嚥性肺炎などがあります。救急搬送されないためには、血圧の管理、健康診断の受診、骨粗しょう症の予防、運動習慣を身につける、肺炎球菌ワクチン接種(65歳以上)を行うことで予防に繋がります。

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 循環器内科の症例として心不全の説明がありました。心不全は今後も増加が予想されている病気であり、原因は様々です。原因として高血圧、狭心症、心筋梗塞、心房細動(不整脈)などが挙げられます。狭心症や心筋梗塞は、すぐにカテーテルで治療ができます。心房細動は、投薬治療とともに、当院ではカテーテルアブレーションによる治療ができます。心不全にならないためにも、禁煙、血圧を下げるなど予防に努め、胸が苦しい、息苦しいなどの症状が出現しても、すぐに受診してもらえれば対応が可能です。
 最後に病院からのお願いとして、働き方改革による医師の時間外労働制限についての説明をしました。緊急性の高い疾患を優先して治療するため、軽症の患者さんは2~3時間待ってもらう可能性があることと、入院患者の家族に行う病状説明はできる限り勤務時間内に受けてほしいことを伝えました。また、退院が可能となった患者さんについては、家族の協力のもと退院先を速やかに確保することが不可欠であることを伝え、第2部の講演は終了しました。

文責:経営企画課

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