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2025年8月川根地区医療学習会

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 2025年8月16日(土)に島田市川根文化センター チャリム21で医療学習会が開催され、当医療センター脳神経外科部長の浦野医師と、島田市健康づくり課の渡邉主任保健師が講演を行いました。

 第1部では、浦野医師が脳卒中についての講演を行いました。
 脳卒中の卒中は突然起こるという意で、主な病気として脳梗塞、脳出血、くも膜下出血があります。
 初めに、脳梗塞は血管が詰まる病気で、ラクナ梗塞、心原性、アテローム性の3種類に分けられます。ラクナ梗塞は細い血管の領域での脳梗塞、心原性は心臓が原因(不整脈)の脳梗塞、アテローム性は動脈硬化で血管が狭くなり起こる脳梗塞です。脳梗塞は、血管の流れが悪くなり、脳の細胞に栄養が行き渡らず症状を引き起こすもので、どこの血管が詰まるかによって症状は様々です。アメリカの脳卒中協会にはFAST(顔(Face)のまひ、腕(Arm)のまひ、言葉(Speech)の障害、発症時刻(Time))という3つの症状と発症時刻の頭文字をとった言葉があります。該当する症状があればすぐに受診することが大切です。
※参考:「脳卒中から大切な人を守る合言葉「FAST」(ファスト)」 

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脳梗塞は発症してからすぐに受診しないと治療ができなくなる場合があります。4時間半以内に受診できれば、点滴で薬を投与するt-PA静注療法と、カテーテルでの血栓回収術が可能となります。4時間半以上だと点滴は使用できず、カテーテル治療のみが可能となります。カテーテル治療の流れを、アニメーション動画で説明しました。
 脳出血は、出血が起こって破壊された部分は治療不可のため、それ以上出血が増えないように血圧管理を行います。原因としては高血圧、動脈硬化、血管病変が挙げられます。脳梗塞が起こりやすい人は、動脈硬化があるため脳出血も起こしやすい傾向にあります。また、脳梗塞予防のための内服薬には、血液をサラサラにする効果があり、服用している方が出血をすると血が止まりにくくなります。そのため、脳梗塞を起こした人は特に血圧管理を徹底的に行う必要があります。
 くも膜下出血は、動脈瘤が破裂して起こる出血です。動脈瘤は太い血管の枝分かれ部分で起こりやすく、破裂すると脳の隙間(くも膜下腔)に沿って出血が広がります。勢いよく破裂するため急激に頭蓋内圧が高くなり、突然バットで殴られたような激しい頭痛を生じることが多いです。吐き気、嘔吐を伴うことも多く、出血の程度によっては最初から昏睡状態に陥ることもあります。再破裂予防の治療方法としてはクリッピング術とコイル塞栓術があります。クリッピング術は動脈瘤の入り口をクリップで挟んで、瘤の中に血流が入らないようにする治療です。コイル塞栓術は、マイクロカテーテルで瘤の中にコイルを詰めることで血流が入らないようにする治療です。
 これらの脳卒中はある日突然起こります。脳卒中のリスクがどのくらいあるかを確かめるのが脳ドック(脳MRI)です。以下の項目のどれかに当てはまれば、脳ドック受診をお勧めします。
・40歳以上である
・生活習慣病がある
・不整脈(心房細動)がある
・喫煙している
・身内に脳梗塞・くも膜下出血になった方がいる
・一度も脳ドックを受けたことがない
当院の脳ドックでは頸動脈エコーを併せて行っており、動脈硬化の程度もわかるようになっています。脳ドックの結果により、将来の脳梗塞・くも膜下出血発症を防ぐための対策をとることができます。結果が悪ければ生活習慣の見直し、内科的治療、脳外科的治療などを行うことが必要です。
 最後に、本日のまとめとして脳梗塞の治療にはタイムリミットがあり、FASTの症状が出ればすぐ病院を受診することを呼び掛け、第1部の講演は終了しました。

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 第2部では、渡邉主任保健師が適塩についての講演を行いました。
 初めに、「ふじのくにお塩のとりかたチェック」という冊子を使い、受講者が自身の食生活を振り返りました。食塩が多くなりがちな食べ方、食塩をたくさん含む食品・料理、ソースやケチャップなどで味を足す料理の頻度をチェックし、普段の食塩摂取量を確認しました。もし食塩摂取量が少なくても、欠食が多い人や、菓子パンを食事代わりにしている人は食事全体を見直すことが推奨されます。
 食塩摂取の1日の目標量は、男性7.5g、女性6.5g未満となっています。実際の摂取量としては、国民健康・栄養調査(令和5年)の平均値が男性10.7g、女性9.1gであるため、男女ともにおよそ3g減らすことが目標となります。島田市では「TE・Aプロジェクト」で適塩を推進しています。適塩とは、「適正な塩分量を知って、できることから始めよう!」という取り組みです。適塩について学べる5分程度の動画(全6話)も島田市ホームページ(外部サイト・別ウインドウで開く)に掲載しています。
 次に適塩のポイントとして、適塩6か条の紹介がありました。

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① 野菜マシマシで
② 素材のうまみを生かして
③ 加工品や漬物はちょっと控えて
④ 汁物は具だくさんで
⑤ 調味料はかけるよりつけるで
⑥ 塩分量をチェックして

「食べるのをやめる」ではなく、「ちょっと工夫する」ことで塩分を控えつつ、おいしく食べることを両立できます。6か条すべてを行わなくても、できそうなことを1つでも取り入れることで適塩に繋がります。
 10年後も元気に過ごすためにも、自分の体の状態を知っておく必要があります。そのためには定期的に健診・人間ドックを受け、結果をきちんと確認することが大切です。要検査の項目だけでなく、正常値になっている項目も正常値内で悪化していることもあるため注目します。また、日頃からできることとしては、体重や血圧の測定をし、自分のやりやすい方法で記録をすることが挙げられます。最後に、気をつけてばかりでなく、楽しんで生活をしてほしいと伝え、第2部の講演は終了しました。

文責:経営企画課

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