2026年7月18日(土)に島田市立六合公民館「ロクティ」で医療学習会が開催され、当医療センター呼吸器内科の金田医師と、島田市医師会の紅林相談員が講演を行いました。
第1部:「呼吸器疾患について」-金田医師(当医療センター呼吸器内科医長)
1.肺結核
結核とは
結核菌により引き起こされる感染症を結核と言います。かつては高杉晋作や樋口一葉のように若くして亡くなる人が多かった病気です。現在も世界では総人口の約4分の1が結核に感染しており、未だに世界最大級の感染症と言えます。日本では罹患率が年々低下していますが、ここ3年は横ばいで推移しており、今後の動向が注視されます。現在、外国生まれの結核患者さんが増加傾向にあることが問題視されており、対策が急がれています。
感染経路
結核は飛沫核(咳などで生じる微小な粒子)を介して空気感染します。飛沫核は数分から1時間程度空中を浮遊するため人から人へ感染をします。狭い空間で8時間以上同室すると感染リスクが高まります。
日本人の結核は主に肺結核ですが、外国生まれの患者さんでは腎臓や骨など肺以外の臓器に結核が生じることもあります。実際当院でもそのような症例を多数診ており、注意が必要です。
治療
結核は薬が開発されるまで「死の病」と言われていました。現在は薬の進歩も著しく、4種類の薬を用いて6か月治療することで非常に高い治癒率が期待できます。この治療法は高齢者や腎機能が低下している方には負担が大きいため、3種類の薬を用いて9か月治療するなど、患者さんに合わせて適切に治療を行います。
静岡県の現状
静岡県の罹患率は全国のおおむね平均値となっており、静岡県の現状を解析することは、日本の現状を解析しているとも言えます。そのため、当院では患者さんの治療結果を学会などで発信しています。
静岡県で結核病棟を有する病院は4つしかなく、その1つが当院であるため、責任感を持って日々診療にあたっています。
2.肺がん
肺がんは小細胞肺がんか否かで大別され、非小細胞肺がんはさらに以下の3つに分かれます。
- 非小細胞肺がん
- 腺がん
- 大細胞がん
- 扁平上皮がん
- 小細胞肺がん
治療
治療方法は以下の3つです。
- 手術
- 放射線治療
- 薬物療法(抗がん剤)
手術や放射線治療が可能なのは、Ⅰ・Ⅱ期もしくはⅢ期の初期に限られているため、早期発見が大切です。それ以上に進行した、リンパ節やその他の臓器に転移がある肺がんは薬物療法しか行えません。薬物療法とは、薬剤(内服、点滴)を用いて全身に散らばっているがん細胞を攻撃する治療で、以下の3種類の薬剤を組み合わせて治療を行います。
- 細胞障害性抗がん剤(主に点滴)
- 免疫チェックポイント阻害薬(点滴)
- 分子標的薬(主に内服)
担当医との確認事項
以下の事項を担当医に確認し、納得した上で治療を受けることが大切です。
- 肺がんの病理結果
- 治療方針(手術・放射線治療・抗がん剤・またはそれらの組み合わせ)
- 抗がん剤の場合、どの薬が適応になるのか
第2部:「ACP(人生会議)について」-紅林相談員(島田市医師会)
1.人生100年時代
現在の日本の平均寿命は80歳を超えています。しかし、健康寿命との差は男性でおよそ6歳、女性でおよそ12歳あるため、この差を少しでも縮めることが課題です。
島田市で65歳以上を対象に行ったアンケート調査では、ACPを「知っている」と答えた方が1割にも満たず、さらにその中でも、実際に行っている方は2割程度しかいないことがわかりました。
2.「人生会議」と終活
ACP(アドバンス・ケア・プランニング)とは、前もって受けたい/受けたくない医療・ケアを決めておき、周囲の人に伝えておくことです。命の危機が迫った状態では、4人中3人がこれからの治療やケアなどについて自分で決めたり人に伝えたりすることができなくなります。だからこそ、普段から人生の最終段階において大事にしたいことや望む生き方について考えたり、信頼する周りの人と話したりすることが必要です。ACPには以下の3段階があります。
- <一般的なACP>
比較的健康な段階の本人が、これまでの人生を振り返り、自身の将来の希望について家族等と話し合うプロセス - <病気や症状に応じたACP>
病気や症状の進行に応じて、本人・家族等と医療・介護福祉等の専門職が話し合い、本人の価値観や意向を反映した医療・ケアを検討するプロセス - <死が近づいたときのACP>
人生最終段階において、本人の意思や希望を尊重した医療・ケアを提供するためのプロセス
気持ちは常に変わるものであるため、一度決めたら終わりではなく、繰り返し話し合って家族と共有し続けることが重要です。
なお、ACPと「終活」は類似点もありますが異なります。終活は財産整理や葬儀・墓の準備など「人生の終わりのための活動」であり、ACPは「もしものとき(意思決定ができなくなったとき)」に備えて自分の生き方や医療・ケアの希望について周囲と話し合う点が特徴です。
3.「もしもの安心ノート」の活用
長寿介護課、包括ケア推進課、各支所、各高齢者あんしんセンターで配布をしている「もしもの安心ノート」には、もしもの時の準備や心構えだけでなく、自分自身がどのように生きたいか、何を大切にしたいかを記入できます。
【例】
- 治療方法
- 介護(自宅/施設)
- 延命処置
4.事例で考える・付録
実際の事例を挙げながら、「現状が変わった時にどのような介護を希望するか」など、家族とあらかじめ話し合いをしておくべき内容について具体的に考えました。
また、「414(よいし)カード」やACPに関する講演会など、ACPをより身近に感じてもらうための紹介もありました。
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金田医師
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紅林相談員
文責:経営企画課


