2026年8月22日(土)島田市川根文化センター「チャリム21」で医療学習会が開催され、当医療センター青山病院事業管理者と歯科口腔外科主任部長の田中医師が講演を行いました。
第1部:「口腔内疾患について」 - 田中医師
1.口腔がんは「見つけること」が大切
口腔がんは、口の中にできる傷や腫れ、出来物、白色や赤色の変化などとして現れることがあります。一方で、痛みなどの自覚症状がないまま進行する場合もあり、気づきにくいことが特徴の一つです。
口腔がんのできやすい場所としては舌が最も多く、次いで歯ぐきなどが挙げられます。そのため、普段から自分の口の中を確認し、いつもと違う変化がないかを意識することが大切であり、特に、白い斑点や赤い部分が消えない、しこりがある、傷がなかなか治らない、触ると出血する、出来物が急に大きくなるといった変化には注意が必要です。
また、「口内炎だろう」と思っていても、2~3週間たっても治らない場合には、自己判断せず、まずは歯科医院に相談することを勧められました。必要に応じて歯科医院から歯科口腔外科へ紹介することで、早期の診断につなげることができます。
2.検査はまず「細胞診」から
口腔内に気になる変化があった場合には、CTやMRI、超音波などの画像検査に加え、細胞診や組織検査などを行います。細胞診は、気になる部分をブラシでこすって細胞を採取する検査で、痛みが少なく比較的簡単に行うことができます。
検査結果はおおむね1週間程度で分かり、細胞診だけで確定診断をすることはできませんが、良性か悪性かを判断するための最初の検査として重要です。悪性の可能性がある場合には、組織の一部を採取して詳しく調べる組織検査を行い、確定診断につなげます。
3.早期発見なら、治療による負担も小さい
早期の舌がんであれば、がんの部分から安全域を確保して舌の一部を切除する手術で治療できる場合があり、術後の食事や会話への影響も比較的少なく、入院期間も短くなります。一方、発見が遅れて進行すると、舌を大きく切除するだけでなく、首のリンパ節への転移に対する手術や、切除した舌を補うための再建手術が必要になる場合があります。
さらに、放射線治療や抗がん剤治療が加わることもあり、治療期間や身体への負担も大きくなります。そのため、口腔内の異常を「そのうち治るだろう」と放置せず、早めに歯科医院を受診することが大切だと呼びかけました。
4.口腔がんを予防するために
口腔がんの原因として、喫煙や過度の飲酒などを挙げられました。また、合わない入れ歯や、虫歯で欠けた歯が口の中の粘膜を繰り返し傷つけることなども、口腔内への慢性的な刺激につながります。そのため、禁煙や飲酒を控えることに加え、毎日の歯磨きによって口の中を清潔に保つこと、合わない入れ歯や欠けた歯をそのままにしないことも重要です。
さらに、定期的に歯科医院を受診し、歯や口の中の状態をチェックしてもらうことも勧められました。
5.インプラント治療について
当院で行っているインプラント治療についても紹介しました。インプラント治療は、歯を失った部分の顎の骨にチタン製の人工歯根を埋め込み、その上に人工の歯を装着する治療です。
一般的なブリッジのように隣の歯を削る必要がなく、入れ歯のように金具をかける必要もないことが特徴です。一方で、インプラント治療は保険診療の対象ではなく、自費診療となります。
また、人工歯根を埋め込んだ後、骨とインプラントが結合するまでに3~4か月程度の期間が必要になります。
第2部:「総合医療センターの現状について」 - 青山病院事業管理者
1.新病院と救急医療
令和3年5月に新病院へ移転し、屋上ヘリポートを整備したことで、ヘリコプターによる救急搬送にも対応できる体制となりました。現在、年間4,000~5,000台近くの救急車を受け入れており、救急応需率は、近年99%を超える高い水準を維持しています。
心筋梗塞や脳卒中など、時間が治療結果を左右する疾患にも迅速に対応しています。
2.救急医療を支える診療体制
救急専門医だけで救急診療を行うのではなく、医師全体で救急患者を診療し、診断がついた段階で各専門診療科が引き継ぐ体制をとっています。各診療科や看護師など、多職種の連携によって高い救急応需率を維持していることが紹介されました。
また、脳卒中センターを設置し、脳梗塞に対する血栓溶解療法や血栓回収療法など、専門的な治療にも対応しています。
3.病気の予防と健康管理
救急医療だけでなく、病気にならないための日頃からの健康管理や予防の重要性についても話がありました。高血圧や糖尿病の管理、塩分の取り過ぎに注意すること、禁煙、適度な運動などが、脳卒中や心臓病などの予防につながります。
また、がんの早期発見には検診が重要であり、病院に通院している人でも、人間ドックやがん検診を受けることが大切だと呼びかけました。
4.心不全・循環器疾患の予防
専門分野である心不全については、一度発症すると再入院を繰り返すことがあり、発症してから治療するのではなく、発症を防ぐことが重要だと強調しました。高血圧や糖尿病、狭心症、心筋梗塞、心臓弁膜症などを早期に発見し、適切な治療を続けることで、心不全の発症や重症化を防ぐことができます。
心筋梗塞についても、発症した場合には早期に救急車を呼び、迅速な治療を受けることが重要だと説明しました。
5.医療センターを取り巻く経営環境
現在の医療センターが直面している経営上の課題についても触れました。
診療報酬が改定されている一方で、人事院勧告などによる人件費の上昇に加え、医療材料や物価の高騰、新病院建設に伴う借入金の返済などにより、支出が増加している。医療収入は増えているものの、それ以上に支出が増えており、病院経営を取り巻く環境は厳しい状況にあるとの認識を示しました。
一方で、経営状況が厳しいからといって医療の質を落としているわけではなく、救急医療をはじめ、必要な医療を引き続き提供していく姿勢を強調しました。
6.医師の働き方改革への対応
医師の働き方改革への対応として、医師数を増やすことで一人当たりの仕事量を減らし、時間外労働の削減に取り組んでいることを紹介しました。限られた医療資源の中でも、脳梗塞や心筋梗塞など緊急性の高い疾患への対応を優先し、必要な医療を提供できる体制を維持しています。
また、患者や家族への病状説明などについても、医師の勤務時間を考慮した対応への理解を求めました。
7.急性期病院としての役割とお願い
総合医療センターは急性期病院として、救急医療をはじめ、必要な医療を提供する役割を担っています。一方で、病気の治療が終わった後も入院を続けるのではなく、退院後の生活や介護を見据えて、適切な退院先につなげていくことが重要です。
家族や地域の介護サービスなどとも連携しながら、治療後の生活を支えていくことについて、理解と協力を求めました。
-

田中医師
-

青山病院事業管理者
文責:経営企画課


