末期になった腎不全に対しては、血液透析・腹膜透析や腎移植といった腎代替療法が必要となりますが、患者さんのご年齢や身体的状態、生活状況などを考慮したそれぞれの患者さんに最適な腎代替療法選択が求められます。医療者側より適切な情報提供を行い、患者・家族・医療者の3者で相談をしながら療法を決定していくのが、「腎代替療法選択」です。当院ではCKD ステージ5(eGFR15未満)となった段階で実施を考慮しております。
高齢の患者さんに適した腎代替療法は?
日本では高齢者の方にも血液透析が行われることが多く、腹膜透析は数パーセントと非常に限定された治療となっております。日本では事実上、透析≒血液透析でありますが、海外では必ずしもそうでなく、腹膜透析の普及度は様々です。日本の現状は、狭い国土に血液透析クリニックが満遍なく存在していることに加え、特に都市部では送迎透析が発達していることの影響が大きいと思われます。しかし、身体的負担という観点では、在宅透析故に頻回の透析通院が不要であったり、24時間持続透析による心臓への負担軽減等、高齢者には腹膜透析が適している点が多いと考えます。また、認知症を持ってられる患者さんにおきましても、療法中の臥床安静や腕を動かすこともできない血液透析よりは腹膜透析のほうが束縛感は低く、無理なく継続できる可能性が高いと考えます。血液、腹膜透析それぞれのメリット、デメリットをしっかり説明し、個々の患者さんにとって最も適した治療を選択していただくことが重要と考えます。
文責:腎臓内科

