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2021年度 小児科だより

 

小児科だよりvol.2.5 「小児の新型コロナウイルス感染症について③ワクチンに関する誤った情報について」

本当はvol.2で触れる予定でしたが、長文となってしまったためvol.2.5としてワクチンに関する誤った情報について触れたいと思います。

現在もネットの中(特にSNS)では誤った情報がたくさん拡散されています。ワクチン接種について考える場合には、ぜひ公的な情報源をもとに判断してください。いくら偉い人や有名な人が言っていたとしても、個人の意見は間違っていることも多々あります。公的な情報源は基本的にファクトチェックといって、事実に基づくものかしっかりチェックされています。公的な情報は、読みにくいのが玉にキズですが…。

最近でもときどき聞かれる質問や誤った情報などについて一部言及しておきます。
(以下参照サイトである厚生労働省やコロワくんサポーターズにも多数のQ&Aが作成されておりますので、ぜひご参照ください)

 

・遺伝子に影響がある?
→mRNAが細胞内でDNAに変換されることは基本的にありません。遺伝子に影響はあたえません。
 

・5年後、10年後の安全性は分かっていない?
→確かに新しい技術を用いたワクチンなので、現時点では長期的な安全性については証明されていません。しかし、すでに初めに接種された方々からは1年程度経過していますが、明らかな問題は指摘されておらず、mRNAは接種後短期間で分解され、体内に残らず、遺伝子に影響を与えることもないと考えられています。長期的な影響はほぼないと考えられます。


・ワクチンによって不妊になる?
→ワクチンによる不妊の報告はなく、動物実験などでもそのような報告はありません。すでにワクチン接種後に妊娠された方もたくさんいます。

 

・食べ物などのアレルギーがあると打てない?
→今回のワクチンに食べ物の成分は含まれておらず、問題なく接種できます。なおワクチン接種によるアナフィラキシーはたいてい15-30分以内に起こるため、アナフィラキシーの既往がある方などは、接種後に30分ほど経過をみさせていただくことがあります。

 

・打っても感染するので意味がない?
→確かにブレイクスルー感染といって2回接種していても感染するという報告が徐々に増えています。しかし重症化は現時点でも十分防ぐ事ができていますし、少なくとも重症化する方がどんどん減っていけば生活上の制限も徐々に緩和されていくことが期待できます。

 

・マイクロチップが埋め込まれる、磁石がつくようになる?
→誤った情報です。

 

・子宮頚癌ワクチンのように痙攣したり、倒れたりする人が多数いる?
→実は子宮頚癌ワクチン(HPVワクチン)についても、後の検討で安全性は問題がないことが証明されています。つまり、接種された方と接種していない方で調べたところ、副反応と思われていた症状に差がないことがわかっています。以前報道などでよく触れられていた症状は接種に関係なく、この年代の子達にときに見られるものであり、もちろんしっかりと対応は必要ですが、ワクチンとの明らかな関係性はなかったということです。

 ただ痛みや緊張で迷走神経反射といって一時的に血圧が下がり、倒れてしまうことは確かにあります。今までに注射や予防接種で倒れたり、気持ちが悪くなったことがある方は、あらかじめ横になって接種することも可能ですので、接種時にご相談いただければと思います。
*なお子宮頚癌ワクチンについても、小学校6年生から高校1年生までが定期接種として接種が可能です。近年非常に効果が高いことがわかっており、世界中で接種されています。コロナワクチンについて調べたタイミングで、良ければ子宮頚癌ワクチンについても一度お調べいただければと思います。
(参照サイト:みんパピ!みんなで知ろうHPVプロジェクト)

 

参考

・厚生労働省 新型コロナワクチンQ&A
・コロワくんサポーターズ
・こびナビ 新型コロナワクチン ミスバスターズ
・教えてドクター佐久 新型コロナウイルス感染症対策 子どもたちを支えるために

小児科だよりvol.2 「小児の新型コロナウイルス感染症について②12歳以上のワクチン接種について」

こんにちは。島田市内でも徐々に中高生でワクチン接種をされている方も増えていますが、TVやネットを見てどうしたら良いのかわからない、接種するのも接種しないのも心配だと困っている方もいらっしゃると思います。今回は少しでも今の状況を確認できるように、12歳以上の新型コロナウイルスワクチン(以下、ワクチン)接種について、今わかっていることをまとめていこうと思います。
(*これは2021年9月初旬現在の情報です。新型コロナウイルスに関する情報は日々更新されており、一部情報が変化する可能性はあるのでご注意ください。特に12歳未満の接種についても現在海外で臨床試験中となり、今後接種年齢が拡大される可能性もあります。)

お時間のない方でも読めるように、初めに簡潔に今回のお話のまとめを書いておきます。お時間があれば、本文もお読みいただければ幸いです。

*今回の話の内容をざっくり言うと…

12歳以上へのワクチン接種は安全性に問題なく、有効性も高いことがわかっています。ただ若年者では新型コロナウイルスに感染しても重症化しにくいことは事実で、副反応として腕の痛みや発熱などが起こる可能性は十分にあります。小児の感染は現在も大人からの感染が主であり、基本的には成人の方が優先度は高いと思います。ただ、小児でも重症化は0ではなく、後遺症などの恐れもあります。また感染拡大を防ぐため、以前の生活を取り戻していくためにもワクチン接種の権利があります。ぜひ改めて、メリット・デメリットを考えて接種するかしないか、もう少し様子をみるか考えてみていただければと思います。

なお、接種される場合は2-3日は副反応に備えて、なるべく予定をいれず、できれば休み前に接種すること、接種後に熱が出ている場合、副反応でも解熱するまでは基本的に外出しないように注意してください。また接種してもすぐに免疫がつくわけではなく、まだ未接種の方も多いので、引き続き基本的な感染対策は継続していきましょう。

 

*12歳以上の小児に対するワクチン接種について

現在日本国内ではファイザー社製とモデルナ社製のmRNAワクチンであれば、12歳からの接種が可能となっています(接種間隔や接種量は成人と同じです)。それぞれが国外で臨床試験を行った上で、安全性に問題がなく、有効性も成人同様に高かったことから、国内でも2021年5月31日に12歳以上の接種が承認され、6月1日から適用となりました。これは義務というわけではなく、むしろワクチンを打つ権利をもらえたものと考えてください。
 

*ワクチン接種の意義について

基本的な考えとして、小児科だよりvol.1でまとめたように、小児の新型コロナウイルス感染症は増加しているものの、成人と比べて重症化のリスクは低いです。ただ絶対に重症化しないわけではありませんし、いわゆる軽症の方も皆さんが思っている以上にしんどいことも多く、高熱が続いたり、嗅覚・味覚障害や息苦しさなどの後遺症に苦しむこともあります。なので、間違いなく「感染しない」にこしたことはないです。

また感染した場合に、周りに感染させてしまう可能性もありますし、しばらくの隔離も必要となります。さらに、今後の感染拡大を防止する上でも、小児科学会は小児のワクチン接種について「意義がある」としています。
 

*ワクチン接種のメリットとデメリット

TVやネットで色々な意見を見ているかもしれませんが、ここでワクチンのメリットとデメリットを、接種する場合と接種しない場合で改めて確認してみましょう。

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実際にお子さん自身のワクチン接種のメリットは、成人と比べると相対的には低いと思います。また、最近でも小児の感染は、家族内感染など成人から感染していることが多いため、やはり成人の方がより優先度が高いと思います。特に小児と関わる生活をされている成人の方は、なるべく早く接種することが重要だと思います。
ただ、若年者であっても重症化しやすい基礎疾患がある方は、なるべく速やかな接種が望ましいと思いますし、感染した場合に生活上非常に困るご家庭(周囲から支援が得られにくい核家族の方など)では、メリットがより大きくなるものと思います。
なお、若年者(主に10代、20代の男性)の副反応として心筋炎(心臓の炎症)が確認されています。10万人に6人程度とまれで、ほとんどが軽症であったと報告されていますが、接種後1週間以内に胸の痛みや息苦しさ、動悸などが出現した場合には、医療機関を受診してください。
 

*まとめ

こういった情報を得た上で、実際に接種するかどうか、ご本人とご家族でよく考えて検討していただければと思います。現時点では判断できないようでしたら、もう少し様子を見てからでも良いと思います。今すぐに打たなくても、余っている分は他の成人の方に接種されます。
なお、実際に接種される場合には、2-3日は副反応の可能性を考えて、なるべく予定をいれない、できるだけお休み前の接種を考慮してください。また、接種後に熱が出ても1-2日でほとんどの方が解熱しますし、解熱剤を使用しても全く問題はありません。ただ、熱の原因がワクチン以外(たまたまそのタイミングで何かに感染したなど)の可能性もあるので、解熱するまでは外出はなるべく避けるようにしましょう。
ただ、ワクチン接種をしても、すぐに予防効果が出るものではなく、デルタ株などでは感染力が強いために、接種していても感染する可能性があります。まだまだ未接種者も多いので、引き続き感染対策は継続して、社会として落ち着いていくことを待ちましょう。

 

参考

・厚生労働省 新型コロナワクチンQ&A
・日本小児科学会 新型コロナワクチン〜子どもならびに子どもに接する成人への接種に対する考え方〜
 とそれに関するQ&A
・新潟県医師会 子どもに新型コロナワクチンを接種するメリット、デメリット
・教えてドクター佐久 新型コロナウイルス感染症対策 子どもたちを支えるために

小児科だよりvol.1 「小児の新型コロナウイルス感染症について①今わかっていることのまとめ」

こんにちは。残暑が厳しい日々が続いていますが、皆さん体調は大丈夫でしょうか?

熱中症になる方もおりますので、久しぶりの学校でも無理せず、辛い時は辛いといってしっかり休むようにしてくださいね。
現在大きな問題となっている、新型コロナウイルスについて、お子さんに感染した場合にどういったことが問題になっているかなど、現在わかっていることについてまとめました。時間のない方のために、先に今回の話のまとめを書いておきますが、お時間があれば最後までお読みいただければ幸いです。

*今回の話をざっくり言うと…

小児の新型コロナウイルス感染症はデルタ株によって急激に増加しています。幸いなことに現時点で小児はやはり重症化しにくいようですが、感染者数が増えてしまうと重症化してしまう方も増えてしまう可能性があります。特に基礎疾患のあるお子さんやまだ小さなお子さんでは注意が必要です。後遺症などまだはっきりとわかっていないこともありますが、なるべく感染しない(させない)ように引き続き注意していきましょう。


*静岡県内でも感染が広がっています

さて、静岡県内でも小児の新型コロナウイルス感染が増えています。デルタ株の感染力がこれまでよりはるかに強く、以前は感染することがまれだった小児でも感染しやすくなっています。
園や部活動での集団感染も報告されていますが、今でも家庭内感染など大人からの感染が最も多いです。集団生活の方が感染が広がりやすいなどの傾向は今の所確認されていません。それもこれも皆さんが頑張っている成果だと思います。引き続きマスク・換気・密にならないなど対策を継続していきましょう。

なお、現在の感染状況は感染対策だけで感染を0にできるレベルではないため、例え感染してしまったとしても悔やんだり、非難されるようなことではありません。悪いのはウイルスであり、辛いのは感染されたお子さんやご家族自身だと思います。明日自分が感染してもおかしくない状況ですから、互いに支え合って、大変だったことや困ったことはできれば皆で共有して、感染しても困らないようにしたいところです。

 

*小児の新型コロナウイルス感染症の症状・重症化について

幸いなことに現状では今まで同様に、小児が感染した場合は重症化することは極めてまれで、無症状や軽症のことが多いです。主な症状は熱や鼻水、咳、咽頭痛、下痢、息切れなどであり、普通の風邪との見分けは困難です。
ただ、絶対に重症化しないというわけでもありません。現時点で20歳未満での新型コロナウイルス感染症により亡くなった方は国内では幸い0ですが、米国では0-17歳においても0.01%の方(400人以上)が亡くなっています。感染症は重症化率が低くても、感染者が増えることで重症化してしまう方が一定数出てしまうため、今後も感染が広がってしまうことにはやはり心配があります。
小児の重症化リスク因子は、もともと多くはないため限られた情報にはなりますが、糖尿病、肥満、先天性心疾患、未熟児などがあげられます。他にも2歳未満、慢性肺疾患、神経疾患、重症心身障害、免疫不全などでも注意が必要だと思います。なお、まれではありますが基礎疾患がなくとも重症化しているお子さんもいます。
小児特有の合併症として、小児多系統炎症性症候群(MIS-C/PIMS)という川崎病に似た病態が知られています。発熱や発疹、リンパ節腫脹など川崎病と似たような症状を多く認めますが、川崎病と比較して年齢層が高い(中央値 8.4歳)、腹部症状が強い、急性心不全を伴うことが多いことなどが知られています。国内ではまだまだ報告は少ないですが、感染が増えることで増加する可能性はあります。新型コロナウイルス感染から2-6週間後に上記のような症状が出る場合には注意が必要です。

 

*後遺症について

新型コロナウイルス感染症では後遺症として嗅覚・味覚異常や、だるさ、集中力の低下、息苦しさなどが続き、生活に支障が出る方が少なくないと言われています。小児においてどのくらいの方に後遺症があるのかは、現時点ではあまりまとまった報告はありませんが、少なからず認められるという報告もあります。
後遺症が出たとしても、数ヶ月で改善することが多いようですが、現状は確立された治療法はありません。基本的には感染しないにこしたことはないです。

 

*まとめ

今回は現時点(2021年9月初旬)でわかっている小児の新型コロナウイルス感染症についてまとめさせていただきました。現在世界中で小児の感染が拡大しており、入院が必要な小児もかなり増加しているようです。今後日本でも同様の問題が起こってこないか心配があります。皆さんすでに本当に頑張っていて、とても大変な状況だと思いますが、引き続き感染対策のほど、よろしくお願いします。

長文でしたが最後までお読みいただきありがとうございました。わかりにくいこと、質問などございましたら適宜教えていただければ幸いです。これからもよろしくお願いします。

参考

・厚生労働省 新型コロナウイルスについてQ&A
・日本小児科学会 新型コロナウイルス感染症に関するQ&Aについて
・AAP Children and COVID-19: State-Level Data Report
・Kompaniyets L, et al. JAMA Network Open 2021;4(6):e2111182.
・小児COVID-19関連多系統炎症性症候群(MIS-C/PIMS)診療コンセンサスステートメント
・厚生労働省 資料 後遺障害に関する実態調査(中間集計報告)等

小児科だよりvol.0 「小児科だよりについて」

はじめまして。島田市立総合医療センターの小児科です。

この度、こどもの病気や健康情報、新型コロナウイルス情報などについて、みなさんにお伝えさせていただこうと思い、小児科だよりを作成させていただきました。

新型コロナウイルスの流行により、お子さんはもちろん、お子さんのいらっしゃるご家庭では、終わりの見えない感染対策に大変な日々をお過ごしかと思います。2年連続で夏休みもあまり自由に過ごすことができず、イベント事もなくなってしまい、残念な気持ちも大きいと思います。

その残念な気持ちやストレスについては、ぜひ隠さずにご家庭でしっかりお話する機会を持ってください。声に出して話をするだけでも少し気持ちが落ち着くこともあります。イライラしてしまうこともあると思いますが、悪いのはウイルスです。お互いの気持ちを否定せず、家の中でできる体操や深呼吸、好きな音楽や動画をみてリラックスしていきましょう。

どうしても不安な気持ちが落ち着かない、ずっとイライラしてしまう、夜まともに寝ることができないなどあれば医療のサポートで少し楽になることもできるかもしれないので、医療機関を受診することも検討してください。

すでに皆さん本当に頑張っています。小さいお子さんも本当に上手に手洗い、手指消毒をしていますし、ちゃんとマスクをつけて頑張って塾に行っている子、打てるタイミングでしっかりワクチン接種をしていただいている皆さんも、学校の先生も、スーパーや商店の店員さんも皆さん大変な中で頑張っています。

もうしばらくウイルスとの戦いが続きそうですが、引き続き感染対策をしつつ、ぜひ自分のことを大切にしてください。力を抜けるところは力を抜いて、頼めることは人に頼んで、ご無理をされないようにしてください。

長くなりましたが、これからできるだけわかりやすく、必要な情報をお届けできるようにしていきたいと思います。ご意見やご質問などがありましたら、教えていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。


 


文責:小児科

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