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2022年度 小児科だより

小児科だより

【 小児の新型コロナワクチンについて 】

ワクチン接種の開始に伴い、接種するかどうかに関わらず、現在接種を考えている方や、どの情報を信じて良いか悩んでいる方もいらっしゃると思います。参考にしやすい資料をまとめましたので、下記のリンクからご覧ください。
vol.14「お子さんの新型コロナワクチンにお悩みの方へ」


※過去の小児科だよりは、右記のリンクからご覧になれます。(2021年度の小児科だより

 

最新の小児科だよりは、vol.23「小児における原因不明の急性肝炎」です。

 

vol.23「小児における原因不明の急性肝炎」

 4月頃より、イギリスなど世界的に小児における原因不明の急性肝炎が報告され、問題となっています。まだわかっていないことがほとんどですが、不安な方もいらっしゃるかと思いますので、ここで現在わかっていることをまとめたいと思います。
 

・そもそも肝炎って何?

 肝炎は肝臓に炎症が起こり、肝臓の細胞が壊れてしまう状態です。B型肝炎やC型肝炎などウイルス性の肝炎が有名ですが、他にも薬剤やアルコールなどいくつかの原因で起こります。
 日本国内では、例年10例程度は小児における原因不明の急性肝炎が報告されています。

 

・今回問題になっている肝炎について

 WHOの提示する目安は ①16歳以下 ②血液検査でASTやALTが500 IU/L(正常値40 IU/L未満)を超える肝炎。その中で、原因の特定ができないものです。(以下5月12日までの情報)

 報告:全世界(20カ国以上)で約450例、日本国内12例 
    患者数が多い国はイギリスとアメリカ
    死亡例11例
    (インドネシア5例、アメリカ5例、パレスチナ1例)  

 年齢:10歳未満がほとんどで、多くは5歳未満

 原因:現時点では不明

 症状:黄疸(体が黄色くなる)、嘔吐、下痢、だるさなど

 経過:ほとんどの方は回復しているが、一部で肝移植を実施 

 急激に増えている印象がありますが、CDCのデータでは、5月半ば時点でも継続的に急激に増えているわけではありません。


・考えられている原因について

 まだ確定された原因はありません。様々な調査がされていますが、現時点で最も多く検出された病原体は、アデノウイルスで2番目が新型コロナウイルスでした。全例検出されているわけではなく、今までにこれらによる肝炎の報告はほとんどないため、偶然検出されている可能性も否定はできません。
 他にアデノウイルスと新型コロナウイルスの組み合わせの影響や、オミクロン株の長期的な後遺症、未知の感染症なども考えられていますが、現時点で断定は困難です。
 少なくとも、患者の多くが新型コロナワクチンの接種歴がないことから、ワクチンの影響は否定的だと考えられています。


・今はどうすれば良い?

 アデノウイルスも新型コロナウイルスも感染対策は今まで通り手洗いやマスクなどの感染対策を継続することです。また、体調が悪いときはしっかり休むということも大切です。
 なお、アデノウイルスはプール熱(咽頭結膜熱)で有名なため、心配な方もいるかと思います。しかし、今回検出されているアデノウイルスは41型で、主に胃腸炎の原因になる型です。また、プール熱も最近は塩素消毒によりプール自体での感染は稀だといわれています。確かに感染力は強く、タオルの共用は避けるべきですが、現時点でプールそのものを避ける必要はありません。引き続き、専門家による情報を待ちましょう。
 

今回のまとめ

 4月頃より、小児における原因不明の急性肝炎が報告されています。現時点では原因ははっきりしませんが、今我々にできる対策は新型コロナウイルス同様に基本的な感染対策を続けることだけです。
 様々な情報に惑わされやすい時代ですが、引き続き専門家による調査の報告を待ちましょう。

参考

・Increase in hepatitis (liver inflammation) cases in children under investigation. UK Health Security Agency.
・Children with Hepatitis of Unknown Cause 米国疾病予防管理センター(CDC)国立予防接種・呼吸器疾患センター(NCIRD)May.6,2022
・複数国で報告されている小児の急性肝炎について(第2報) 国立感染症研究所 2022.5.10
・小児の原因不明の急性肝炎についてのステートメント 日本小児肝臓研究会、日本小児栄養消化器肝臓学会 2022.5.5

 

vol.22「虫さされについて」

 今回は、夏も近づいて来ましたので虫さされについてです。実は虫さされは、子どもの方が大人より症状が強く、長引きやすいため、予防することが大切です。
 

・虫さされについて

 最も有名なのは蚊(カ)だと思います。しかし、蚊のように血を吸う虫はもちろん、ハチやムカデなどさしたりかんだりする虫、ガの幼虫のように毒毛がある虫にも注意が必要です。
 特に2-6歳くらいのお子さんは虫にさされやすく、大人よりも大きく腫れるなど症状が強く、長引きやすいです。

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・どうしてかゆいの?

 虫の唾液や毒自体の影響もありますが、かゆくなる主な原因はアレルギー反応です。何回かさされるうちに、体が虫の成分を覚えることで、反応が強くなっていきます。
 赤ちゃんは虫にさされても、それほど痒がりません。これは、まだ体が虫の成分を覚えていないので、アレルギー反応を起こしにくいからです。2-6歳までには何度もさされ、体が覚えてしまうことで強く反応します。ただ、さらに繰り返されると免疫反応は少しずつ弱くなり、学童期以降に症状が軽くなります。

 

・治療はどうしたらよいですか?

 かゆみを伴う場合、ステロイド外用薬が有効です。ドラッグストアでも購入可能です。塗らなくても数日から1週間程度で良くなります。かゆいときは冷やすことが有効です。
 毛虫を触ってしまったときは、粘着テープや流水で毒毛を排除しましょう。こすると悪化してしまう可能性があります。

ハチに2回さされたら、アナフィラキシーになりますか?

必ずしも強い反応が起こるわけではありません。短い期間に何回かさされることは危険ですが、
 多くの方は局所の反応が強く出る程度です。しかし絶対に起こらないともいえません。
 小児でハチによるアナフィラキシーは稀ですが、じんましんや息が苦しいなどの症状が出た場合は 
 救急車を呼びましょう。特にアシナガバチスズメバチミツバチに注意が必要です。

・虫さされの予防!どうすれば良い?

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  ✓服装

   ・虫が多いところで素肌を出さない

   ・虫が近づく花柄や黒い服装は避ける

  ✓虫よけグッズ

   有効な成分は「イカリジン」「ディート」の2種
   アロマも人気ですが、効果は弱いです

   ・イカリジン:安全性が高く、小児でも使いやすい

   ・ディート:効果が高く、野山でもより安心できる

  ✓生活

   ・ハチの巣や虫が多いところに近づかない

   ・汗はこまめに拭き取り、シャワーを浴びる

*今回のまとめ

 虫さされは2-6歳ころのお子さんの方がひどくなりやすいです。これからの季節、蚊はもちろんハチやムカデ、毛虫など様々な虫に注意が必要です。
 かゆくなる原因はアレルギー反応が主体のため、ステロイド外用薬が有効ですが、できるだけ虫にさされないように予防をすることが肝心です。子どもに使用する虫よけとしては「イカリジン」がおすすめです。

 

vol.21「夜尿症について」

 

 今回は「夜尿症」いわゆる「おねしょ」についてです。
アレルギー疾患の次に多い慢性疾患と言われ、おねしょで悩んでいる方は少なくないと思います。ご参考になれば幸いです。

 

・そもそも夜尿症って?

 夜尿症とは「5歳以降で月に1回以上睡眠中のおもらしがあり、3か月以上続くもの」です。男の子に多く、小学校低学年で10%台、10歳を超えても5%前後にみられるといわれています。成人になっても続く人もいます。

 

・どうしてなるの?

 寝ているときに作られるおしっこの量が多い、おしっこを十分にためられないことが原因です。夜尿症は発達とともに治ることが多いですが、治療が必要な病気が隠れている可能性もあり、尿検査などを施行します。夜尿が6か月以上なかったのに再発した場合は、何らかの原因を疑います。
 また、便秘が原因のこともあります。多量のうんちが膀胱を圧迫し、夜尿を悪化させることが知られています。

 

・治療した方がいいの?

 治療によって自然経過に比べて2~3倍治癒率を高め、治るまでの期間を短縮することができます。夜尿は年齢とともに減少しますが、夜尿により自尊心の低下や劣等感をいだく傾向があります。そのため、お悩みの方は随時ご相談ください。

 

・どんな治療があるの?

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生活指導・行動療法

 まずは生活指導を行います。①夜更かしをせず規則的な生活をする、②夜の水分摂取を控えめにする、③夜尿の記録をつける、④就寝前にしっかり排尿させる、⑤睡眠中の冷えを防ぐなどがすすめられます。便秘がある人は、便秘の治療で1年以内に半分以上が改善するともいわれており、まず便秘の治療をします。
 夜尿がない日が続いたときは、ご褒美をあげるなども効果があります。ただ、夜尿をした際にペナルティを与える方法は逆効果なので注意してください。

 

薬物療法

 デスモプレシンというおしっこを濃くして、量を減らしてくれる作用があるお薬などを使います。

 

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アラーム療法

 水分を感知するセンサーをパンツにつけ、おしっこが漏れたことに気づかせます。起きてトイレに行くか、我慢できるようにすることで夜尿をしないようにするものです。
 だいたい3~4か月間装着します。アラーム療法をするには本人や家族のモチベーションが必要となります。

*今回のまとめ
 
夜尿症は小学校低学年の10人に1人。多くは自然によくなりますが、病気が隠れていることもあります。生活指導などにより、自然経過と比べて2~3倍治る可能性が上がります。
 便秘の改善や生活習慣の工夫が大切です。①規則正しい生活を意識、②夕方以降の水分摂取は少なめ、③寝る前にトイレに行く、④体を冷えから守るなどを心がけましょう。また、失敗しても怒らないようにしてください。病院で行う治療には、薬物療法とアラーム療法があります。生活習慣の見直しをしても、おねしょの改善がみられないようであれば相談してください。

 

 

vol.20「起立性調節障害(OD)について②-自宅でできること-」

 今回は、ODの方が自宅でできる非薬物療法についてです。もちろん、これだけで完治するわけではありませんが、症状をやわらげることが期待できます。
 

---- ODの症状をやわらげる「6つの非薬物療法」 ----

1. からだの操作:頭は最後に、ゆっくりと起き上がりましょう

 ODは、主に脳の血流の低下が原因です。急に起き上がると、脳の血流が低下するため、さらに症状が悪くなり、倒れてしまうこともあります。
 起き上がるときは ① 寝たまま少し頭を上げる → ② ベッドや布団に座る → ③ 足をおろして前かがみでゆっくり立つ → ④ 頭を下げながら歩き始める。立ち続けることも避けましょう。余裕があれば、起きる前や座っているときに足をバタバタ動かす、手足のグー・パーを繰り返すこともおすすめです。

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2. 塩分と水分の摂取:しっかり飲んで、きちんと食べましょう

 ODの方は、体に循環する血液の量を保つことが必要です。水や塩分の不足で症状は悪化します。
 水分 1日 2 L塩分 今までより 2-3g 多くが目安です。

 

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3. 運動:動けるときに、頑張って体を動かそう

 残念ながら、動かないで過ごしていると体の機能は低下します。1週間休むと、筋力が10-15%低下すると言われています。
 元気なときに散歩やスクワットをしてみましょう。運動が嫌いな方は掃除や窓拭きなど家事、好きな音楽でダンスやストレッチも良いです。運動になるゲームも一つの手です。

 

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4. 生活リズム:睡眠を大切にしよう

 ODの方は、朝よりも夜に元気で生活リズムが崩れやすいです。
22時になったらスマホをみない、朝は8時に声を掛けてカーテンをあける、起きたらなるべく日光を浴びるなど具体的な対応を本人と相談しましょう。
 無理な時間を目標にしても、トラブル(けんか)の元です。現実的な時間を目標に、15分単位でゆっくり調整することが必要です。

 

5. 暑気・低気圧の対策:調子が悪くなるタイミングを予測しよう

 症状と付き合っていると、悪化する原因がつかめることがあります。例えば、暑気や低気圧で悪化しやすいため、予め水分や塩分を多めにとっておく、少し運動をしておく、無理しないようにするなどの対策も大切です。

 

6. 心理社会的ストレスへの対応:あせらず過ごしやすい環境を整えよう

 ODは自律神経の働きに左右されるため、ストレスは悪化因子です。自分の思うように動けない、学校に行きたいけど行けない、友達関係・勉強の遅れが心配、家族の焦りが辛いなど、心の負担は大きいです。
 自分がどう過ごしたいのかを共有して、病院や学校などで相談はできます。あせらず過ごしやすい環境を一緒に整えていくことをおすすめします。

 ODには薬物療法もありますが、効果は一時的で、それだけでは不十分なことが多いです。非薬物療法は自宅ででもでき、自分で自分をコントロールするための方法です。ODの方もODの傾向がある方も、ぜひ取り入れてみてください。
 

今回のまとめ

 起立性調節障害には薬物療法もありますが、薬だけで十分によくなることは難しいです。病態を理解して、自分自身で症状を和らげる方法を理解することが重要です。
 体の起こし方、水分・塩分の摂取、運動、生活リズムの調整などいくつかの対策がありますが、取り入れるのは思ったより大変です。できそうなことからゆっくり始めて、無理のない範囲で継続していきましょう。

 

vol.19「起立性調節障害(OD)について①-原因と症状-」

 今回は、中学生の10%が持つといわれる起立性調節障害(OD)についてです。
近年増加しており、聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。小学校高学年から中高生によくみられ、不登校の40%に合併するとも言われています。やる気がない、甘えと誤解されやすく、苦しんでいる方も少なくありません。
 

・起立性調節障害(OD)ってどういう病気?                          

 自律神経の調節がうまく行かなくなり、様々な症状をきたす身体疾患です。
まずは、理解しやすいように典型的な経過を2例ご紹介します。    
       

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① Aさんの場合 

 小さい頃から活発で、学級委員にも立候補するタイプ。いつも友人に囲まれていました。小学校6年生から授業に集中することが大変になっていましたが、夜は元気だったので、ゲームのしすぎだとよく怒られていました。
 もともと朝が苦手でしたが、中学校1年生の夏、部活中に熱中症で倒れて休んでから、朝はほとんど起きられなくなりました。学校に行きたくても、体が動かず、吐き気やだるさに悩まされました。しかし、時間が経てば動けるようになっていたので普段は10時頃、調子が良い日は朝から登校していました。しかし、徐々に遅刻や欠席の回数が増え、朝は親子で喧嘩、学校では先生に怒られ、中学校2年生から学校に行くことができなくなりました。

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② Bさんの場合

 小学校4年生頃から頭痛がときどきありましたが、休めば良くなるので、特に治療せずに様子をみていました。音楽の授業などで立っていると気分が悪くなることがあったので、ときどき保健室で休むことがありました。
 小学校5年生で新型コロナウイルスの流行があり、自粛でほとんど家から出ずに過ごすようになりました。少し落ち着いたところで学校に行こうとすると、歩いて学校に行くだけで気持ち悪くなり、教室を移動しているときに学校で倒れてしまいました。その後、学校に行くことができていません。

・何が原因ですか?

 体を調節する自律神経の働きが悪くなっていることだと考えられています。
立ち上がったときに脳に行く血流が保てず、頭痛やだるさ、気持ち悪さなど体にとって不快な症状が出現します。

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 自律神経がうまく働かなくなる原因は、睡眠不足やストレスなどいくつかありますが、成長期の急激な変化に自律神経が追いつかないことが問題だと考えられています。そのため、思春期の身長が一気に伸びる頃に悪化しやすく、成長とともに改善し、高校2-3年生までに90%以上の方で症状が出にくくなります。
 ただ、病態の悪化には水分摂取の不足やストレス、運動不足も関与します。

*デコンディショニング(体のコンディションが崩れている状態)

→ だるくて動かない、動かないともっと動けなくなるという悪循環
入院すると体力が落ちるように、体を動かさないと、体の機能は低下します。ODの方は、この悪循環が大きな問題です。
自粛による運動不足で、米国でもデコンディショニングの子が増えていることが報告されています。

・どんな症状が起こりますか?

 立ちくらみやめまい、気持ちが悪い、頭痛、朝起きられず午前中調子が悪い(夜は元気)、食欲がない、顔色が悪い、倦怠感などが起こります。ただ、睡眠不足や体調不良でも起こる症状のため、甘えや怠けと誤解される方も多いです。また、暑い場所や気圧の変化に弱いことも特徴の一つです。
 本人は動きたいけど、体に鉛がのっているのではないかというほどに動くことができない状態です。もちろん、寝ていれば良くなる訳でもありませんが、決して甘えや怠けではないことを頭にいれておきましょう。
 

今回のまとめ

 起立性調節障害は小学校高学年から中高生によくみられる疾患です。体の成長に自律神経の発達が追いつかず、うまく体の循環を維持できないことで、朝起きられない、気持ち悪いなど様々な症状を起こします。しかし、一つ一つはよくある症状であり、起立性調節障害と気が付かないことも多いです。不登校の40%にODが合併していることも指摘されています。
 甘えや怠けと誤解されやすい疾患ですが、動きたくても動けず、とても困っていることが多いです。まずは疾患を知って、理解することが大切です。

参考文献

・小児起立性調節障害診断・治療ガイドライン 2014
・起立性調節障害(OD)朝起きられない子どもの病気がわかる本;田中大介 講談社 2021

 


文責:小児科

カテゴリー

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